
日本で「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」の在留資格を持って働く方々の中には、「失業が3か月以上続くとビザが取り消される」という話を耳にしたことがある方も多いでしょう。
今回は、失業期間と就労ビザの取り消しについてわかりやすく解説します。
1. 3か月を超えてもすぐにビザが無効になるわけではない
日本の在留資格取消制度には厳格な手続きがあります。在留資格が取り消される前には、入管から通知が送られ、本人に弁明の機会が与えられます。この手続きが完了するまでビザは自動的に無効にはなりません。
ただし、通知を無視して弁明しない場合、一定期間後に在留資格が取り消される可能性があるため注意が必要です。
2. 自主的な退職と解雇では扱いが異なる
• 解雇などの非自発的な失業(例:コロナ禍や会社都合):特定活動ビザ(就職活動用)を申請し、就職活動を継続することが可能です。
• 自主退職:原則として特定活動ビザ(就職活動用)の申請はできません。
3. 3か月以上失業していても、就職活動をしていれば問題なし
失業期間が3か月を超えても、ハローワークに登録するなど就職活動を行っており、その証拠を提出できれば、ビザ更新時に「在留状況が不良」と判断されることはありません。
ただし、就職活動の証拠をそろえる手間を考えると、可能であれば3か月以内に再就職することをおすすめします。
4. データで見ると、失業によるビザ取消は非常に稀
出入国在留管理庁の統計によると、2020年に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人が、失業期間が3か月を超えたためにビザを取り消されたケースはわずか4件でした。
このデータからも、失業が直接的にビザ取消につながる可能性は低いことがわかります。
5. 退職後に母国へ帰国し3か月以上経過すると注意が必要
退職後に再入国許可やみなし再入国許可を使って母国へ帰国し、3か月以上日本に戻らない場合、国内で失業期間が3か月以上続いた場合と同様、在留資格が取り消される可能性があります。
特に、国外にいる場合は入管からの通知を受け取ることができないため注意が必要です。
理論的には、正式に在留資格が取り消されない限り、再入国できる可能性はあります。しかし、将来ビザを更新する際に不利な判断材料となることもあります。
6. 永住申請への影響
失業が3か月以上続くと、将来の永住申請に不利な影響を及ぼす可能性があります。
例えば:
• 年収が下がる
• 社会保険や年金の減免記録
これらは審査時のマイナス要因となり得るでしょう。
7. 退職後14日以内の届出を忘れないこと
退職後14日以内に、入管へ「所属機関に関する届出」を提出する必要があります。この届出を怠ると、不利な判断を受ける可能性がありますので、必ず期限内に対応してください。
まとめ
失業が3か月以上続くとビザ取消のリスクが高まるのは事実ですが、入管から弁明の機会が与えられるため、即座に取消とはなりません。
適切に手続きや就職活動を行い、証拠を提出すれば問題なく在留を継続できます。
また、行政書士のサポートを受けることで、入管への対応をスムーズに進めることができ、不利な状況を回避するための有効なアドバイスを得られます。