
大学卒業資格を持つ申請者が人文知識・国際業務ビザを申請する際、入管が判断基準とするのは、申請者が「日本で安定して働けるか」という点です。そして、その「安定性」を評価するために、以下の6つの要素が重視されます。
1. 会社の営業実績と設立年数
会社の営業成績が高く、設立からの年数が長いほど、その会社が今後も存続する可能性が高いと見なされ、申請者の雇用の安定性も評価されやすくなります。
2. 申請者の納税状況
申請者が過去に納税を滞納したり、後から追納したりしている場合や、国民年金と厚生年金を頻繁に切り替えるような履歴があると、「日本で長期間働く意志が弱い」と判断される可能性があります。安定した納税記録は非常に重要です。
3. 日本滞在年数
日本での滞在年数が長ければ長いほど、日本で引き続き生活する可能性が高いと判断されます。例えば、滞在年数が8年以上であれば「安定している」と評価されやすいですが、1年程度の滞在では「次年度も日本にいるか不明」と見なされ、1年のビザが交付されることが多いです。
4. 職歴の年数
日本での就労年数が長い場合、その人が日本の職場環境や文化、人間関係に適応していると評価されます。これも「安定性」を示す重要な指標の1つです。
5. 業務量と適性
申請者が過去の職歴やスキルを活かせる業務内容であること、業務量が十分であることが重要です。業務内容が申請者のスキルと一致していれば、入管はその人が長期間働けると評価します。新卒者の場合、企業の研修制度があることを強調すると良いでしょう。
6. 日本人と同等の給与水準
人文知識・国際業務ビザは専門性の高い職務に適用されるため、給与は日本人と同等以上であることが求められます。給与が低すぎると、ビザの基準に合致しないと見なされ、最悪の場合は拒否されることもあります。
これら6つの要素は相互に関連して評価される
例えば:
• ケース1: 日本の大学を卒業し、日本滞在2年目の申請者が上場企業に就職する場合、初回で3年のビザが下りる可能性が高い。
• ケース2: 日本に8年以上滞在し、納税記録が安定している申請者が、年商5000万円の小規模企業に転職した場合、3年、あるいは5年のビザが交付される可能性もある。
良い雇用理由書がビザの成否を分ける
雇用理由書は、入管審査官が提出資料全体をスムーズに理解し、審査を迅速に進めるための重要な役割を果たします。適切な理由書は、ビザの許可率、発給年数、審査スピードを大きく左右します。
一方で、理由書が不十分だと、申請者が毎回「1年ビザ」の更新を繰り返すことになりかねません。
行政書士の価値とは
行政書士の役割は、申請者の状況を最大限に反映した理由書を作成し、審査官が申請者の安定性を正しく評価できるようサポートすることです。
ただし、審査官の判断基準は個別に異なるため、これらはあくまで今まで許可した経験に基づく参考情報としてご活用ください。